国債金利と銀行金利の関係と、明るくない将来

東京債券市場で12月26日、長期金利の代表的な指標となる新発10年国債の利回り(金利)が一時、年0.300%まで低下し、取引時間中の過去最低を2日連続で更新しました。

原油市況の悪化などで投機マネーが比較的安全とされる国債の買いに流れたため、長期国債の価格が上昇、金利下落が進みました。

関連:現在募集中の個人向け国債・新窓販国債 (財務省)

12月25日に財務省が実施した満期2年の国債入札でも、平均の落札利回りがマイナス0.003%となりました。

1年未満の短期国債を除けば、これは初のマイナス金利です。

マイナス金利って…

国債を買った側が損をしますので、普通は成り立ちませんので、募集停止となりました。

財務省は26日、30日から予定していた2年物国債(348回)の個人向け窓口販売の募集をとりやめると発表した。
金利低下で応募者利回りがマイナスとなり、需要が見込めないと判断した。
募集を停止するのは10月以降、3回連続となる。

関連:2年物個人国債、募集中止 3回連続、応募者利回りマイナスで 財務省 (日本経済新聞)

国債を仕切っているのは、財務省。

マイナス金利が生じると、財務省は(国債を買った民間金融機関から)利息を受け取りながら借金できます。

おカネを借りながら、利息を受け取るって(笑)

国債が買われて価格が上がると、金利は下がる関係にあります。

どのような時に国債が買われるのか?

今回は原油市況の悪化が主たる要因ですが、(投機対象である)金属価格の下落などもあります。

国債の金利は、銀行の定期預金などにも連動する部分があります。

上がれば上がる、下がれば下がる。

国債以外が悪化→国債が買われる→国債利回り(金利)下落=長期金利下落=銀行の金利下落→銀行に預ける意味が薄くなる

という流れなのです。

経済の「簡単解説本」の類には、金利上下の要因について、以下のように書いてあると思います。

<金利が上がる要因>
・物価が上がる
・株価が上がる
・円安になる

<金利が下がる要因>
・物価が下がる
・株価が下がる
・円高になる

これを踏まえて、現在の状況を見ると、

・物価が上がっている
・株価が上がっている
・円安になっている

ですから、金利が上がるのでは?と思いきや、上がりません。

金利は様々な要因の複合の結果決まるので、必ずしも上のようになるとは限らないのです。

上のようになる場合は状況が単純なのでラクなのですが、今回のような複雑な状況下では、有効な施策が打てず混乱し、かつ、長期化することになります。

さて、円定期預金は原則中途解約できませんので、いつ組むかが重要になります。

低い金利で組んでしまい、その直後に上がればイヤですからね。

もっと上がると待った結果、下がってしまってもイヤですしね。

金利は月初に改定されることが多いので、月末は要注意です。

このままだと、2015年初頭の金利は下がりそうですか?

金利が下がると、預ける側にとっては、利息が減りますので、デメリット(損)になります。

借りる側(融資を受ける側)にとっては、上乗せして返す利子が減りますので、メリット(得)になります。

日本銀行は、金利を下げて融資を増やし、消費や企業投資を促進したいのでしょう。

そのため、日本銀行は金融緩和の一環として、国債を金融機関から大量に買っているのです。

市場に出回る国債が少なくなっている。

国債が買われて価格が上がると、金利は下がる関係にあります。

銀行からおカネを借りる人を増やしたいということなのでしょうが、借りますかね?

特に対法人の場合、銀行はなかなか融資しません。

明らかに景気がよくありませんからね。

貸しても返せなければ銀行が困るので、貸さないのです。

原油市況の悪化は経済戦争の一端ですから、長期化する様相です。

国債がマイナス金利という異常な状況。

定期預金で少しでも…と考えている方にとっては、来年(2015年)も厳しい状況が続くでしょう。

法人税減税で企業優遇するようですが、その結果が従業員に還元されることはありません。

中小企業の場合、使わずにためるか、社長や役員が役員報酬として取るだけです。

2000年以降ですかね、長らく不景気の時代が続いています。

労働者もそうですが、おカネを使わない習慣が身に付いています。

バンバンおカネが使える状況なら、数ポイントをためていくau WALLETカードなどのポイントカードの類は、これほど広まらなかったでしょう。

・できるだけおカネを使わない。
・おカネを使うなら、ポイントをためられる店で。

これは節約であり、工夫なのですが、2008年のリーマンショックを経ていることもあり、こういう思考が企業にも染み渡っている状況では、従業員に降りてくることはありません。

従業員に還元した後、資金が必要だといって、銀行に相談しても貸してくれませんからね(笑)

時給換算で数十円というゴマカシ程度を上げたとしても、物価はそれ以上に上がっており、結局マイナスです。

2014年4月を境とした、増税前後を比較すると明らかです。

増税は5%→8%の3%増ですが、明らかに3%以上上がっていますからね。

なんだ、たったの3%かと思ってしまいますが、その影響は3%にとどまりません。

業種にもよりますが、その3倍(9-10%)くらいの影響を想定しておく必要があるでしょう。

3%増で牛丼が値上がり→牛丼店に行かない→自作弁当

3%低下するのではなく、それを機にゼロになってしまうことがあるのが、増税の怖いところです。

酒をヤめたとか、タバコをヤめたとか、旅行をヤめたとか。

子を持つのをヤめたとか、結婚をヤめたとか…

そして、年金は減額。

来年(2015年)4月から、公的年金を受け取る全ての人の年金額が抑制されることが確実となりました。

関連:年金額抑制、来年度から – 全受給者が対象に (読売新聞)

新聞試算では、40年間サラリーマンとして働いた夫と専業主婦によるモデル世帯の場合、年金の伸びが月約3,400円程度が抑えられる計算。

不安→カネが回らない→企業保有(内部留保)→従業員にカネがない→不安

こうして大企業の経営者やその周辺が儲かり、それ以下は疲弊。

中間層が減少し、白か黒、上か下かの二択。

二択といっても、選択不可能な二択です(笑)

この国は自己努力、自己責任の国ですが、その限度を超えていると思います。

老いて年金がないでは、何ができるのでしょうか。